
「ワコール」ブランドがすべての人に届けたい"下着のチカラ"とは
さまざまな人気ブランドを展開しているワコールには、企業名そのままの「ワコール」ブランドがあります。
その“企業の看板”ともいえる「ワコール」ブランドが、2024年に大きくリブランディング。
どうしてリブランディングに踏みきったのか、どんなリブランディングを行なったのか、ブランドマネージャーの坪内に聞いてみたところ、「ワコール」ブランド、そしてワコールの熱い想いが見えてきました。
多様性の時代に合わせたリブランディング
― まずは「ワコール」ブランドについて教えてください。
坪内 「ワコール」ブランドは、デビューから70年以上続いている、企業を象徴するブランドのひとつです。
各種インナー、靴、スイムウェア、アウターなど、ベビーからシニアの方まで幅広くご愛用いただけるアイテムを豊富に取り揃えています。
そのときどきのライフサイクルやライフイベントに、ぴったりの商品が見つかる。そんなブランドとして、たくさんのお客さまに親しまれています。
― 2024年8月に行なったリブランディングの経緯を教えてください。
坪内 「ワコール」ブランドは、下着を通して時代のニーズに合わせた「美しさ」をお届けしてきました。
その「美しさ」とは、造形美、内面美、健康美といった意味合いも含んでおり、「下着を通してトータルビューティのお手伝いがしたい」という想いに変わりはありません。
とはいえ、「多様性」や「自分らしい美しさ」が求められる今、「美しさ」という表現だけではお客さまの心に響きにくいのではと考え、ブランドメッセージの刷新も含めてリブランディングに踏みきりました。
新たに掲げたインナーウェアでのブランドメッセージは、“愛するわたしへ。Love your moment.”です。
お客さまが自分自身にあてたようなメッセージで、「すべての一人ひとりに、下着を通して自分を見つめ、自分を愛せる瞬間を持ってほしい」という想いを込めています。
年齢にとらわれず、“好き”で選べる商品群へ
― ブランドメッセージ以外には、どんなリブランディングを行なったのでしょうか?
坪内 以前は年齢に合わせて商品をグルーピングしていたのですが、お客さまのニーズに合わせてお選びいただけるよう、3つのグループへ再編成を行ないました。
年齢にともなう体型変化は誰しもあるものですし、それを軸に下着を選ぶことも、もちろんあると思います。
でも、たとえば年齢に関係なく、ずっと好きな雑誌やファッションってあると思うんです。
下着も同じで、「シンプルが好き」「シックなものが好き」「可愛いものが好き」といった嗜好は、必ずしも年齢とイコールじゃない。
多様性とともに「年齢で決めつけたくない、決めつけられたくない」という方も増えてきていると思います。
そんな時代に合わせて、「好き」という感覚を大切に選んでいただける商品編成に刷新しました。
また、パルファージュ、ラゼ、ルジェといった「ワコール」ブランドのサブブランドは、2024年春夏シーズンでブランドを終了し、テイストや機能を受け継いだ一部のラインアップを新たな商品群に再編成しています。
オリジナル機能で“新しい感覚”をお届けする「ワコールコレクション」
― 新たな3つの商品群について教えてください。
坪内 ひとつめのグループが「ワコールコレクション」です。
テーマは「すべてのひとりひとりへ、これまでになかった新しいソリューションとデザインを」。
他にはないオリジナル機能を持った、「下着の新しい価値」を提案するグループです。
たとえば「高い造形力」と「ラクな着用感」という相反する機能の両立など、新しい感覚を味わっていただける下着をご提案しています。
また、基本的な機能は踏襲しながらも、トレンドに合わせてデザインや機能をアップデートしているグループでもあります。
「ワコールってどんなブランドなの?」「ワコールの代表的な機能って何?」というときは、まずワコールコレクションを見ていただきたいです。
「ブラってどれも同じだよね」と思っている方にも試していただきたいブラが揃っていますし、ワコールを好きになっていただけるきっかけになると思います。
その代表格のひとつが「ハグするブラ」シリーズです。
こちらのブラがデビューしたのは2023年、世の中の生活様式が大きく変化したあとでした。
その頃から多くの女性が感じている「ラクなものに慣れてしまって、キツいものには戻れない。でも造形力は欲しい!」というお悩みに応えるために、3つの独自機能を搭載しています。
独自機能① 体温を感知してからだになじむ「ハグシート」
ブラをつけたときにキツさを感じやすい部分に、体温でやわらかくなる薄手シートを内蔵。
からだに合わせてじんわりと伸びて、ハグされるようなここちよさが続く。
独自機能② ギュッと谷間メイク「リフティングレース」でバスト引き上げ
バスト下からストラップまで続くリフティングレースでバストを引き上げ、ギュッと引き寄せて谷間をメイク。
独自機能③ 脇も背中もすっきり。肌にとけこむ感じ「肌ピタッバック」
全方位に伸びる、とてもやわらかい生地をバックに使用。
さらに、上辺を折り返し始末にすることで、やさしい肌あたりで段差も軽減。
脇も背中もすっきりととのう脇高設計なのに、肌にピタッととけこむようなここちよさ。
おかげさまで、この「ハグするブラ」ならではの機能を気に入ってくださる方が年々増えています。
そこで、もっと多くのお客さまにご愛用いただけるように、「クールでエレガント」「カジュアルでシンプル」といったデザインの選択肢を増やしています。
他にも、バストを小さく見せるミニマイズブラやマタニティ、ブラトップなど、タイプもさまざまに展開しています。
「ハグするブラ」は、特に産後や仕事復帰時のブラに悩まれている方、キツいブラで我慢されている方などに、ぜひお試しいただきたいです。
「ワイヤーブラ=キツい」というイメージって、とても根強いものだと思います。
でも、「ワイヤー、ノンワイヤーに関係なくラクなブラってあるんだ」という驚きや気づきをたくさんの方にご提供して、“ブラの固定観念”を変える。
「ハグするブラ」には、そんなチカラがあると思っています。
愛され続けるロングセラーが揃った「ワコールベーシック」
坪内 ふたつめのグループが「ワコールベーシック」です。
テーマは、「普段のなかにこそ、ながく愛用できる素材や機能にこだわった上質を」。
普遍的でエイジレスな商品、ワコールの定番商品が集まっています。
本当に長く愛されているアイテムばかりなのですが、その理由として、豊富な体型データや知見をずっと蓄積してきたワコールならではの“機能やデザインの多様性”、そして高い品質基準を設けているワコールならではの“安心感”があると考えています。
アイテムやサイズの展開も豊富なので、「自分に合う下着がなかなか見つからない」という方や、初めてワコールをお使いいただく方にも、ぴったりの商品が見つかると思います。
なかでも、3年連続売上一位※のロングセラーアイテムが「ディアヒップショーツ」です。
(※ 2022〜2024年 ワコールウェブストア実績)
こちらのショーツの魅力は、とにかく「安心感」にあります。
安心ポイント① ヒップをつつみこむフィット感
ヒップをすっぽりとつつみこむ設計で、フィット感のある安定したはきごこちに。
安心ポイント② とことんやさしい肌あたり
サイドの縫い目をなくし、前マチ部分も縫い目が肌に直接当たらない袋縫いに。肌へのあたりを、とにかくやさしく。
安心ポイント③ ぐーんとのびるストレッチ素材
本体とマチ部分に、テンセルTMブランド繊維と綿を使ったこだわりの生地を使用。
ストレッチ性がよく、なめらかな肌ざわりです。
本体、マチ部分も同じ素材を使っているので、動きに合わせてよく伸びます
こちらも、多くの方にご愛用いただけるよう、「ハグするブラ」と同じように選択肢を増やしています。
・はきこみ丈は浅め・普通・深めをご用意
・綿100%のオーガニックコットン、ボーイレングス、3L以上もあるものなどタイプも豊富
ショーツこそ「素材や縫製にこだわっていて、一度いいと思ったらずっとリピートしている」という方がたくさんいらっしゃるんですが、「ディアヒップ」は、まさにそういうお客さまが多い商品だと思います。
5枚、10枚とまとめ買いされる方も多いですし、社内にも愛用者が大勢いる、ワコールを代表する定番人気ショーツです。
洗練されたディテールに身も心も華やぐ「ワコールプレミアム」
坪内 3つめのグループが「ワコールプレミアム」です。
テーマは、「あなたのなかの未知なる魅力を引き出す、熟練の職人による確かな洗練とディテールを」。
ワコールのクリエイターがこだわり尽くしたデザイン性やクラフト感と、熟練の縫製技術によってつくられる繊細なディテールが特長です。
ファッションのように楽しめる、視覚的にも触感的にも“上質さ”を感じられる、そんな情緒的な価値をお届けできるアイテムが集まっています。
価格帯もプレミアムではありますが、価値をしっかり感じていただけると思います。
2025年春夏シーズンのデザインテーマのひとつが、「-幸せを運ぶスズラン- フランス・パリ」です。
フランスには、ミュゲ(スズラン)を大切な人と贈り合う「ミュゲの日」があり、受け取る人にも贈る人にも幸せが訪れるといわれています。
そんな素敵な習慣にちなんで、街中がミュゲであふれる初夏のパリをイメージしたデザインになっています。
「インポートライクな美しい下着をつけたいけれど、体型に合わない」といった方にもおすすめしたい、美しいデザインと設計にこだわったブラです。
デザインへのこだわり① 繊細なクチュール感とプレシャスなきらめき
ウエディングドレスに使われるような繊細なリバーレースと、立体的な刺繍をほどこしたチュールレースを重ねた、クチュール感あふれるデザイン。
クリスタルやラメ糸がきらめく2種類のアップリケもふんだんにあしらい、プレシャスな仕上がりに。
デザインへのこだわり② 後ろ姿までチャーミングに
バックにまでフラワーモチーフをたくさんちりばめた贅沢な仕様。
ゴールドの金具や二股のナローストラップでセンシュアルな印象をプラス。
機能へのこだわり① 谷間を美しくととのえる
前中心の低いワイヤーを使い、しっかり脇寄せすることで胸の谷間を美しく演出。
機能へのこだわり② サイズに合わせたバストメイク
C〜Eカップはボリュームアップ、E〜Gカップはシルエットすっきり、Gカップはしっかりサポートと、カップによって設計を変えて理想のシルエットへ。
じっくりと手間暇をかけてつくりあげているブラですし、日本人女性の体型を知り尽くしているワコールだからこそできるブラでもあると自負しています。
若い女性にも“下着の楽しさ”を知ってほしい
― 他にはない新感覚の下着を見つけたいときは「ワコールコレクション」、自分に合う下着を探しているときは「ワコールベーシック」、贅沢な気分を味わいたいときは「ワコールプレミアム」と、下着の選択肢が広がる編成になったという印象を受けました。
坪内 そうなんです。特に若い女性に、下着の選択肢を増やしていただきたいという想いがあります。
今はブラキャミの普及などで、「ブラをつけたことがない」という若い女性も増えていますよね。
その根底には、「ブラって何でつけなきゃいけないの?」という疑問や、「下着=セクシャルなもの」というイメージがあると思います。
私たちも、リブランディングに際して「下着って何のためにあるんだろう」「下着に何ができるんだろう」と“下着が持つチカラ”を捉え直しました。
もちろんブラキャミもいいものですし、ノンワイヤーが好まれる理由もわかるんです。
でも下着は、エチケットや実用性だけでなく、安心感、高揚感といった情緒を動かすチカラを持っています。
さらに、人には気軽に見せないからこそ、自由に自分らしさを楽しめる。
若い方にもいろんな下着を試していただいて、そんな“下着の楽しさ”を知ってほしいんです。
また、“下着の楽しさ”を若い頃から知っている大人の女性にも、もっと多くの選択肢から自由に下着を選んでいただきたい。
そして「ディアヒップ」のように、“消耗品”ではなく“愛用品”としてずっとお使いいただけるような商品をお届けしていきたいと思っています。
そうしてすべての女性に“下着の楽しさ”をお届けすることが、「ワコール」の看板を背負うブランドとしての使命だと考えています。
すべての女性に、下着でエンパワーメントを
― 最後に、メッセージをお願いします。
坪内 私たちの一番の願いは、下着が「自分を知っていただく、自分について考えていただく」きっかけになること。
よくよく考えると、私自身も、しんどいときはノンワイヤーブラを、たくさん人に会う日は造形力の高いブラを無意識に選んだりしています。
逆にいうと、らくちんなブラを選んだときは「今は無理したくないんだ」、お気に入りのデザインのブラを選んだときは「今日は気分を上げたいんだ」というように、下着に選択肢があるということは、“今の自分”を知るきっかけになる。
何事も、そうやって「そもそも自分のからだって、どんなからだなんだろう」「どんなことに喜びや安心を感じるんだろう」ということを知ることから始まると思います。
例えばスキンケアって、その日の肌質や体調、気分に合わせて使うものを変えたりしますよね。メイクやお洋服も、予定や気分に合わせて選ばれていると思います。
それは毎日の楽しみであると同時に、自分のからだとココロを確かめる作業、個性や自分を表現する方法でもある。毎日、一生、身につける下着も同じなんです。
下着を選ぶ、つける瞬間はほんの一瞬です。
でも、毎日のその時間を、自分のカラダやココロに耳を傾ける、自分だけが知る“今の自分の状態”を実感する、そんな瞬間にしていただきたい。
それはきっと、お悩みやストレスの解消、そして新たな自分の魅力の発見にもつながると思います。
下着で勇気や自信を持つ。もっと自分を愛する。そんな後押しができる企業でありたいと思っています。
― ありがとうございました。
【取材後記】
今回インタビューを担当したライターは、アラフォーで2児のママ。
2度の出産、授乳を経て体型が大きく変わったものの、忙しさにかまけて見て見ぬふりをしてきました。
適当に選んだブラキャミをずっとつけていて「このままだと10年後、どんなからだになっているんだろう」という不安もあったけれど、友達と下着の悩みについて話すような機会もあまりないし…。
でも、今回の坪内さんのお話をきっかけに、5年以上ぶりにワコールのお店へ。
サイズを測ってもらい(3カップもサイズダウンしていてびっくり…)、実際に試着した「ハグするブラ」と「重力ケアブラ」を購入しました。
どちらも、お洋服ではあまり選ばないような華やかな色柄をチョイス。
「今日はどっちにしようかな」と選ぶのが楽しいし、鏡で自分のからだを見て、ブラをつけて、変化を感じる時間は、自分を大切にしているようで嬉しくなります。
なんだか背筋もすっと伸びるし、カップやストラップがズレるといったプチストレスも解消。
子どもにも「かわいいねぇ」と褒めてもらえて、幸せな気分になりました。
ライフスタイルやライフステージが違っても、私のように自分のからだと向き合う習慣がない方、「下着って大差ないよね」と思っている方って、案外いらっしゃるのではないでしょうか。
この記事をご覧になった方に、一人でも多く、下着をきちんと選ぶことの大切さ、下着をつける喜びや満足感を感じていただけると、とても嬉しいです。