
「CW-X」のスポーツタイツに込められたノウハウがすごい!
健康
スポーツタイツを検討したことがある方なら、ワコールの「CW-X(シーダブリュー・エックス)」という名前を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
アスリートからスポーツ初心者まで、本当にたくさんの方々に愛用され続けている、歴史あるスポーツウェアブランド「CW-X」。
なぜそんなに愛されているの?他とはなにが違うの?「CW-X」のMDの池田と、デザイナーの南口の2人に、そのこだわりや想いを語ってもらいました。
「CW-X」の誕生は、まさにケガの功名!?
― 下着メーカーであるワコールがスポーツウェアブランド「CW-X」を立ち上げた経緯を教えてください。
池田 CW-Xは1991年にワコールが立ち上げたブランドで、ブランド名の「CW-X」には「コンディショニングウェア(CW)の無限大(X)の可能性を引き出す」という想いが込められています。
実は、ブランドの誕生にはきっかけとなる出来事がありました。ある日、ワコール人間科学研究開発センターの研究員の妹さんがスキー中にケガをされたそうなんです。
このままではスキーを続けることができない…そのとき、たまたま一緒にいたお友達が脚にテーピングをしてくれたところ、そのまま続けることができたという経験から、「テーピングの原理をタイツに取り込もう!」というアイデアが生まれ、1991年に「CW-X」の初代商品であるスポーツタイツが誕生しました。
そのとき生まれた初代のスポーツタイツは、今でも少しずつ進化しながら販売を続けています。それがこちらの「エキスパート モデル」です。
最初は女性向けにビビッドなレオタード風のデザインを発売したのですが、「男性用も欲しい!」という声をいただき、メンズも誕生しました。
30年近く経った今も変わらずご好評をいただいていて、ワコールウェブストアでも定番の人気商品になっています。
ロングセラーの理由は、一度はいたらわかるよさ
― そんなに長い間愛され続けている理由は何なのでしょうか?
池田 「エキスパートモデル」はCW-Xの中で一番ベーシックなモデルなので、今までスポーツタイツをはいたことがない方や、スポーツタイツってどんなものかもわからない、という方にも試していただきやすい商品です。
素材やデザインは少しずつ改良していますが、「はくテーピング」としての基本的な構造は初代から変わっていません。
一度はいてみてよさを実感いただき、そのまま長年ご愛用してくださっている方がたくさんいるんです。
― ちなみに、最初はやっぱりスキーの動きを想定してつくられたのでしょうか?
南口 初代も今も、ご使用いただくシーンは限定していません。
テーピングのように関節や筋肉をサポートすることは、どんなスポーツにおいても大切なことですし、実際にいろんなスポーツシーンでお使いいただいています。
発売当初はスキーや山登り、ランニングのときにウェアの下にはかれることが多かったようですが、だんだん「見せるスポーツタイツ」としてご愛用いただくことも増えてきました。
ただ、発売当初は世の中にまだない新感覚のものだったので、まさにゼロからのスタート。
担当者が自分たちであちこち足を運び、プロ野球のトレーナーさん達などに直接説明させていただていいていたと聞いています。
そこからたくさんの方のご協力や口コミによってご愛用の輪が広がっていきました。
ランニング人気や山ガールブームも、一般の方にたくさん知っていただくきっかけになったと思います。
独自のノウハウで、カラダを守る!
― 「テーピングのようにサポートする」とは、具体的にどういうことなんでしょうか?
池田 「CW-X」が一番大切にしているのは、股関節をしっかり安定させながら、連動性をもって全体を安定させること。
カラダって、すべてが連動して動くものですよね。
だから「ここだけを安定させればいい」「ここだけを守ればいい」というものではないという考えを基本にしています。
実際にサポートラインをご覧いただくと…
股関節からふとももを通り、ひざの関節をまたいで、さらにふくらはぎを通って足首まで、一本のラインになっています。
このサポートライン部分は伸縮性が少なく、強いパワーがあります。
反対に、本体部分はかなりストレッチ性があり、やわらかくなっています。
私たちは、無理にカラダをおさえつけたり、無理やりパワーを引き出したりはしたくないと考えているんです。それに全体をガチガチに固めてしまうと、そもそもはくこともできないですし、窮屈で仕方ないですよね。
だから、ストレッチ性の良い本体素材に、さらにパワーの強い素材をサポートラインに貼り合わせたり、切り替えたりすることで、カラダの動きに追随しながらも、関節や筋肉をサポートする、動きやすい「コンディショニングウェア」を目指しているんです。
そこには下着メーカーならではの知見が詰まっています。
ガードルづくりに必要な、おなかおさえやヒップアップなどパーツごとに強弱をつける技術、さまざまな伸縮性をもつ素材の開発、肌あたりの良さを追求する高い製法技術など、ワコール独自のさまざまなノウハウが活かされています。
南口 また、実際にはいたときのフィッティング状態もしっかり確認しながら開発しています。
今までの設計や仕様をもとにつくったあと、必ず人に合わせてみて、ジャストフィットするかどうか、今までのものよりもキツくなったりゆるくなったりしていないかを確認するんです。
そして、本当に納得がいくまで何度も確認と修正を繰り返します。
ワコールはサイズにもすごくこだわっていますし、ブラジャーなどの下着と同じで、カラダにきちんと合ったものを快適に着ていただきたいんです。
衣服としての快適さと、しっかりとしたサポート力を兼ね備えている。
それが「CW-X」のスポーツタイツです!
サポートする部位やはきごこちで選べる、豊富なバリエーション!
― 「CW-X」のスポーツタイツにはいろいろな種類があるようですが、どのように選べばよいのでしょうか?
池田 スポーツタイツを選ぶときにまず考えていただきたいのが、どの部分をサポートしたいかということです。
まず、CW-Xでは、下半身の動きにおいて、股関節がもっとも重要だと考えているので、多くのモデルに股関節をサポートする機能を持たせているのですが、この股関節に焦点をあてて、前後左右からサポートし、その安定性を向上させるのが「ボディバランスアップモデル」です。肌ざわりのよい、ソフトな素材の生地を使っており、全方向に伸びる8WAYストレッチで動きやすいのが特徴です。
先ほどご紹介した「エキスパート モデル」は、脚を中心にサポートするものです。「股関節・ふともも・ひざ・ふくらはぎをサポートし、スポーツ時のコンディションをととのえたい」というときにおすすめです。
そして、脚、腰にくわえ、おしりのサポートもプラスしたものが「ジェネレーター® モデル」です。マラソンや球技、スキーやスノーボードなど、カラダへの負荷が強いスポーツには、このタイプが選ばれています。腰から脚までをフルガードしてくれるので、カラダに不安を感じる方にもおすすめです。
基本的にサポートの部位が増えるほど、どうしてもはきごこちが固めになってしまうので、ストレッチ性の良い生地を使用して、はきやすくしています。
さらに、中でもはきごこち・軽量性を追求した「ジェネレーター® モデル2.0」というタイプもご用意しています。こちらは、「ボディバランスアップモデル」と同じ8方向に伸びる生地を使用し、サポート部位は多いのに動きやすくしたほか、サポートラインの縫い目を無くすことで、軽さとはきごこちを追求しました。
ほかにもエキスパート モデルとジェネレーター® モデルには、全面メッシュ素材のCOOLタイプや、ふんわりと軽くあたたかい素材を使ったHOTタイプなど、カラダのコンディションやお好みに合わせて選んでいただけるように、たくさんのタイプをご用意しています。
普段使いに最適なBASICモデルも!
池田 CW-Xのフィット感や素材は好きだけど、ハードではない、軽い運動の時や、普段の生活でもはきたい時にピッタリなのが、「BASICタイプ」です。普段着の延長としても取り入れられるよう、色やデザイン、価格にもこだわっています。まだCW-Xを知らない方に、はきごこちを知っていただくのにおすすめのモデルです。
スポーツブラにも「CW-X」ならではのこだわりが
― スポーツタイツのほかには、どんなアイテムが人気ですか?
南口 女性にはスポーツブラがご好評です!
「CW-X」のスポーツブラは、運動時の3大ストレスである「ユレ・ムレ・ズレ」を軽減できるように設計や素材にこだわっています。
スポーツタイツでも「無理にカラダをおさえつけない」というお話をしましたが、スポーツブラに関しても、無理にユレをおさえつけるのではなく、ユレを分散させることを大切にしています。
ワコール「CW-X」のスポーツブラについてはコチラで詳しくご紹介しています!
》「ワコールのスポーツブラは何が違う?スポーツブラの役割と選び方を基本からおさらい!」
イチローさんをはじめ、プロアスリートも「CW-X」のトリコ!
― あのイチローさんもCW-Xを愛用されていると聞いたのですが…。
池田 そうなんです。2000年、メジャーリーグ挑戦を控えたイチローさんは、自分の感覚にフィットするスパッツを探していました。そんなときに当時のトレーナーの紹介で出会ったのがCW-Xだったと聞いています。トレーニング後の疲労感の少なさ、脚の動かしやすさを感じられ、すぐにコンディショニングウェアとしてCW-Xを使いたいとの連絡をイチローさんご自身からいただきました。
CW-Xをずっと着用していくために自分の体型にあったCW-Xを提供してほしいとのリクエストをいただき、イチロー選手オリジナルCW-Xの開発に至りました。
その後契約を結び、もう20年以上になりますね。
現役時代は毎年300枚の提供していました。全試合、守備、打撃、走塁、常に一緒に戦ってきたことは私たちの誇りです。
イチローさんは、2025年1月に日本人初のアメリカ野球殿堂入りを果たしましたが、その表彰式の際にもCW-Xを着用されていました。
慣れないスーツと革靴で長時間過ごさなければならなかった中、腰のサポートのおかげで快適に過ごすことができたそうです。CW-Xは365日身につけているもので、これなしでは怖くて過ごせない、とも言われていました。今でももう一つのユニフォームなんです。
最近では、オリンピックで注目度が上がった日本フェンシング協会とのサプライヤー契約や、アメリカでは競技人口が900万人と言われている、日本ピックルボール協会とスポンサー契約を結ぶなど、さまざまなアスリートのみなさんに愛用いただいています。
― 「CW-X」が運動時にカラダを守って、しっかりサポートしてくれるという証ですね!
誕生から35年。進化を続け、より多くの人に愛されるブランドへ
― 最後にスポーツを楽しむ方に向けたメッセージや、今後の展望についても教えてください。
池田 1991年に誕生したCW-Xは、35周年を迎えます。テーピング原理から生まれた、これまでになかった商品として、お客様との出合いの場を少しずつ広げてきました。
ランニング人口も増えており、CW-Xがスポーツ健康需要に応えていると言えますが、私としてはスポーツをする人のためだけでなく、スポーツをしない方にこそ使っていただきたいと思っています。
たとえば、身体的負荷が高いと思われる配達員や学校の先生、医療従事者の方などにも使っていただきたいですし、もちろん普段着としてもはいていただきたい。それほど自信をもっておすすめできる商品です。
個人的な話ですが、フルマラソンでもはくのですが、CW-Xは、一番苦しい時に背中を押してくれる存在なんです。ただの衣服ではなく、自分を支えてくれたり頑張りにつながるものと思っていますので、何か新しいことにチャレンジしたい時にぜひ選んでいただきたいと思っています。
南口 テーピング原理を守りながら、新しい技術を次々ととり入れて、部位別に応用されたアイテムが出てきたのは、35年間の集大成だと思います。今後はさらなる機能を追求していき、それに合わせた素材を選んでいくなど、まだまだ進化させていきたいと考えています。
CW-Xが提供するコンディショニングは、テーピング原理でサポートするということだけでなく、スポーツの時の汗から守るとか、強い日差しを避けてくれるとか、そういうことも含んでいます。
また、CW-Xはアスリートの方や機能性が欲しい方のためだけのブランドではなく、決してハードルの高いものではありませんので、もっといろいろな方に使っていただきたい。スポーツをする、しないに関わらず、すべての人が知っているブランドになることが目標です。
― ありがとうございました!
※弊社社員について、インタビュー時の所属・役職名で記載しております。